MyFairOlympics

フィギュア・スケート男子SP

2022.2.8

フィギュア・スケートは、団体戦が終わり、いよいよ個人戦が始まりました。
まずは男子シングル、ショートプログラム(SP)からスタート。

昨夜のスキージャンプ混合団体が、「喜んで悲しんでまた喜んで……」と、感情が動きまくり大忙しでしたが、今日もそんな感じ。メンタル、ジェット・コースターです。
今は『ミヤネ屋』を見ながらこのテキストを作っているのですが、冒頭ニュースはフィギュア・スケートで、SP終了後の上位3人による記者会見を生中継しちゃう熱の入れようです。ただ、ネイサン・チェン選手が喋るとスタジオに戻ってしまうのが何とも……。まぁ、スポーツ番組じゃないですもんね、ワイドショーですもんね。延々とフィギュアの話をやってくれるだけでもありがたい。……と思ったら、ネイサン選手が羽生選手の事を褒めた部分だけは、わざわざピックアップして放送してました。

団体戦の時は、「地上波のテレビを観て、CMになるとBSを観て……」なんて事をやっていましたが、今日は途中でNHKラジオの解説が町田樹さんだと知った為、CMになるとラジオを聴いてました。本当はテレビと同時に聴きたかったんですが、ネットラジオだったせいか、タイムラグがあって、ズレて視聴の邪魔になってしまうので、CMの間のみ聴く事にしました。
オリンピック中は複数の競技を見て忙しい事はよくある私ですが、一つの競技でこんなバタバタしちゃう事ははじめてです。製氷時には食事摂ったり、ツイッター見なきゃだから(義務じゃないです)、もう大変(笑)。

では、気になった選手の感想を、SP順位が低い方から順に書いてみます。

棄権 ヴィンセント・ジョウ(アメリカ)
海外選手の中ではネイサン・チェン選手の次に見たかった選手ですが、新型コロナウイルスの陽性判定となり、まさかの欠場となりました。団体戦に出ていたのに、セレモニーで表彰台にいなかったのはそういう理由だったのですね。気の毒すぎる……。

28位 アレクサンドル・セレフコ(エストニア)
大昔、私が最初に好きになったフィギュア・スケートの種目は女子シングルでした。当時はフィギュア・スケート男子の「こんな服はフィギュア・スケート選手しか着ないよ」という「いかにもフィギュア・スケーター」という衣装が苦手だったんです。フィギュアっぽくない衣装を着る選手を見てから男子も好きになったような気がします。
今回のセレフコ選手もジャケット着用で、まさにフィギュアっぽくない衣装。もちろんジャケットは柔らかそうで動きやすい素材のものなのでしょうが、遠目から見ると氷上以外でも違和感ないようなスタイルで、ルックスの良いセレフコ選手にとても似合ってステキでした。「ちょっとそのジャケットをネイサンに貸してくれない?」とツイートしている人がいたのには笑った(ネイサン・チェン選手は、着替えさせたいような衣装で登場する事がある)。
ヴィジュアルはメダル級でしたが、肩のケガが影響したのか28位。残念ながらフリーには進めませんでした。

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25位 ミハル・ブレジナ(チェコ)
オリンピック4大会連続出場のベテラン。一時は引退の噂も流れましたが、戻ってきてくれました。もしかして、団体戦の為に引退させてもらえなかったのかなぁ?(チェコは今回初めて団体戦に出場しました)
トリプル・トウループで転倒。四回転を予定していたサルコウは三回転になってしまいました。動きがやや鈍かった気も。全盛時のような鋭さはなかったように思います。落胆の表情が切なかった。平昌五輪のSPは9位でしたが、今回はフリーに進めない順位となってしまいました。



20位 ニコライ・マヨロフ(スウェーデン)
大会後は警察官になるそうです。フィギュア・スケーターと警察官ってミスマッチなイメージでちょっとびっくり。
"Sound of Silence"で演技をしたのですが、ディスターブドによるカバー。"Sound of Silence"とヘヴィー・メタルもミスマッチなイメージでそれにもびっくり。

19位 ドノバン・カリジョ(メキシコ)
セレフコ選手とはタイプが異なりますが、同じく大会屈指の美男子。サンタナの曲に合わせて軽快な滑りを見せました。スコアを見て飛び跳ねて喜ぶ様も微笑ましかったです。メキシコの旗手だったそうです。
「メキシコに本格的なアイスリンクって、あるのかな?」と思い、ちょっと調べてみたところ、ショッピングセンターにある公共のアイスリンクで練習していたそうです。
フィギュア・スケートでオリンピックに出場するのはメキシコ勢としては30年ぶりとの事。見事フリー進出を決めました。

18位 ブラディミル・リトビンチェフ(アゼルバイジャン)
音楽がラフマノフのMorceaux de fantasieとなってましたが、『鐘』だよね! 浅田真央選手がやったアレだよね!!
初めて聴いた時は「こんな暗い曲、浅田選手に合わないよなぁ」と思ったけれど、すごく印象的なプログラムで、忘れられない曲となっています。久しぶりに聴いてやっぱり暗い曲だと思ったけれど、とてもカッコいい曲でもあると思いました。
自己ベストの素晴らしい演技でした。アゼルバイジャンの旗手だったそうです。

16位 デニス・ヴァシリエフス(ラトビア)
ステファン・ランビエール選手が引退して寂しく思っていた頃、ある大会のキスクラでこの人の脇にいるランビエールさんを見て、「コーチやってるんだ!!」と歓喜したのは何年前の事だろう? 当時は十代だったヴァシリエフス選手も大人っぽくなりました。音楽は公式サイトでは「Sarakiz: II. Romanza, The Battle Drums」となっていましたが、テレビでは『もののけ姫』と言っていました。「アシタカって、長髪だっけ?」と思って画像を確認しちゃったけど、もしかしてサン?

15位 マルク・コンドラチュク(ROC)
団体戦で私を震え上がらせたコンドラチュク選手ですが、2本滑って疲れてしまったのか、やや精彩がありませんでした。日本もアメリカも男子シングルはショートとフリーは別の選手が滑ったのに、ROCは全種目、ショートとフリーを同じ人が滑ったんですよね。他の種目は休めるけれど、男子の個人戦はすぐに始まってしまったので、タイトなスケジュールで気の毒。
コンビネーションジャンプ失敗(途中でターンが入ってしまった)でちょっと悔しそうでした。

14位 アダム・シャオイムファ(フランス)
ジャンプが高かったです。四回転トゥループとトリプル・トゥループのコンビネーションはきれいだったなぁ。サルコウで転倒しましたが、スピードがあり、力強い演技でした。

11位 金博洋(中国)
この人がシニアに上がってきた頃は「すごい人が出てきた」という感じで衝撃的でした。
が、2018年の世界選手権は19位。ケガなどもあって、どんどん印象が薄れていってしまいました。団体戦もイマイチで、もうかつての輝きは取り戻せないのかな……と思いかけましたが、今日の冒頭の四回転ルッツ、凄かった! 高かった!! 二つ目のジャンプも良かった!! トリプル・アクセルで手をついてはしまいましたが、全体的には良い演技だったと思います。滑り終わった後の感極まったような表情は印象的でした。
柔らかくなめらかな感じに見えたなー。衣装や髪型もそういう雰囲気を助長するイメージだったかもしれません。「もうカクカクしない」とツイートしている人がいましたが、確かにそんな感じ。
アナウンサーにも「四回転だけでは、というところをずっと考えながら競技に取り組んできたんだと思います。昔は四回転ルッツはすごいけど、というような感じの、評価をされる事もありました」と言われてました。辛い思いをしてきたんだろうなぁ。

10位 ケビン・エイモズ(フランス)
動きが軽快、キビキビしていて見てて気持良かったです。手を付かない側転みたいな事をしていてワクワクしたのですが危険な気も。あれはルール的にはOKなのかな?
得点を見て絶叫してジャンプしてました。ああいうのを見ると、こちらまで嬉しくなります。

9位 キーガン・メッシング(カナダ)
新型コロナウイルス陽性の為、団体戦に出場出来なかったメッシング選手。入国は昨日になってしまったそうですが、個人戦には間に合って良かった!
なんでもない所でふらついたりつまずきそうになってましたが、ジャンプとスピンは完璧だったように見えました。
曲がINXSの"Never Tear Us Apart"ですごく嬉しいんですが、カバーなんだよなぁ……。ジョー・コッカー、嫌いじゃないけれど、オリジナルのマイケル・ハッチェンスの声で聴きたい……。っていうか、初めてこれを聴いた時は、ジョー・コッカーがこれをカバーしている事にびっくりしました。

8位 羽生結弦(日本)
ここで羽生選手の名前を記さなければいけないのが辛い。登場するのが早すぎる。本当は最後に書きたかったのに……。
ジャンプの踏切時、氷上の穴にはまってしまったとの事で、これはミスというよりアクシデントと言っている人もいました。ジャンプ失敗して転倒した場合でも何点かは入るのに、飛べなければ0点です。
「ショートはミスが許されない」という言葉はよく聞きます。なんとなく理解しているつもりではいたけれど、「ショートに限らず、いつだってミスは許されないでしょ」みたいに思ってました。が、今日は文字通り、ショートの短さに愕然としました。「リカバーする時間がないんだ!」と思い知らされました。演技時間の長いフリーだったら、どこかに無理やりジャンプを入れちゃう事も出来そうだけど、ショートはもうキツキツ。一つのジャンプを追加で入れる余裕なんてないんだ……。

再び昨夜のスキージャンプ混合団体を思い出してしまいました。本当は各国8本のジャンプで競うはずなのに、高梨選手の1本目が無効になってしまい、7本で他チームと戦う事になってしまいました。あれもミスというよりアクシデントに近い気がします。気落ちしたはずの高梨選手は、その後立て直し素晴らしいジャンプを跳び、他の選手も頑張って挽回し、4位まで上がりました。羽生選手も後半は素晴らしい滑りで、1本足りないのに入賞圏内に踏みとどまったのでした。
もっとも、羽生選手にとっては入賞なんて意味がないだろうし、本来ならここでモチベーションを失ってもおかしくないけれど、四回転アクセルがあって良かった。
実は、「もしSPで僅差の1位でも、羽生選手は本当に四回転アクセルにトライするんだろうか?」という疑問を持っていました。「金メダルが目の前にあるのに、成功がおぼつかない危険な四回転アクセルにトライできるのか? 守りに入るのではないか?」と。
でも、アクセルやってもやめても「どちらにせよ金メダルを狙えない」となれば、「やるしかない」と迷いはなくなる筈。
まだ「金メダルを諦めろ」とは言えないけれど、「金メダル」と「四回転アクセル成功」の両方を与える程オリンピックの女神は甘くはないのかもしれません。でも、オリンピックの女神は四回転アクセルはきっと見たいよね。氷に穴を開けた代償に(?)アクセル成功させてあげてくださいっ!>女神さま。
この順位では不機嫌になってもおかしくないと思うのですが、丁寧なマスコミ対応はさすがです。

5位 モリシ・クビテラシビリ(ジョージア)
このプログラム、好きです。曲もいいですね。"Tout l'universe" by Gjon's Tears 読めない(^_^;)。スイスのアーティストの曲でスイスで1位になっている曲みたいですが、フィンランドやリトアニア、アイスランド、オランダでも売れてるみたい。ジョージアでは何語が使われているのか調べちゃいました。グルジア語、ロシア語、アルメニア語、アゼルバイジャン語などだそうです。ドイツ語じゃないんだー。……と、そんな事にも興味を持たせてくれるのがオリンピック。

3位 宇野昌磨(日本)
ランビエール・コーチが間に合って良かった!
団体ではほぼノーミスでしたが、今日はトリプル・トゥループで手を付いてしまいました。が、解説の町田さんによると「些細なミス」らしい。実際点数も良く、自己ベスト更新となりました。やった!!

2位 鍵山優真(日本)
実は羽生ショックが尾を引いて、その後は頭の中真っ白な状態で、ぼーっと見ていたのですが、彼の演技に救われました。宇野選手の演技も良かったんですが、シリアスな曲調だったので、あまり気分が上がらなかったのです。でも、鍵山選手の曲は"When You’re Smiling"。見ているうちに笑顔になっちゃったよー。素晴らしい演技だったし、楽しくなってきちゃいました。トリプル・アクセルはお父さんの正和さんが苦手としていたジャンプなので、「これを最後に持ってくるか……」とちょっと心配になって踏切時はドキドキしましたが、見事に決めてくれました。気付いたらテレビの前で拍手していた私です。「すごい得点が出ました!」とアナウンサー。大喜びをしている鍵山選手を見ていたらますます嬉しくなって、ちょっと前までの気分が嘘のように幸せな気分になりました。

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1位 ネイサン・チェン(アメリカ)
もう鍵山選手のせいで笑みが止まらなくて、ニコニコしながら幸せな気分で見てました。
「いやー、ネイサン、やっぱりスゴイ選手だなー、素晴らしい演技だなー」とニコニコ。
4年前の平昌では素晴らしい演技の羽生選手の後に滑って、失敗しまくってしまったネイサン選手。今回、「すごい得点」を出した鍵山選手の後に滑るなんて、デジャヴ?……と思いましたが、その後は4年前とは全く違っていました。嬉しかったです。
日本選手のライバルではあるけれど、平昌五輪を見た人ならネイサン選手を応援せずにはいられないと思います。
オリンピックで自己ベスト更新の演技が出来て本当に良かった。「良いもの見せてもらった!」って感じです。
オリンピックには魔物がいるのか、本命選手が勝てない事がしばしばあります。私がオールタイムで一番好きなカート・ブラウニング選手は世界選手権は4度も優勝してるのに、オリンピックでは銅メダルさえ取れませんでした。
毎回金メダリスト候補として出場するのにオリンピックでは3度もメダル獲得のチャンスを逃したスピード・スケートのダン・ジャンセン選手も印象に残ってます(4度目でついに金メダルゲット)。
フィギュアは、スピード・スケートのように長く現役でやれる競技ではないので、今回はメダルを取らせてあげたいです。まぁ、日本選手の表彰台独占でもいいんですけどねー(笑)、それが叶わぬなら、ネイサン・チェン選手を表彰台に上げてあげたいのです。上がらなくちゃダメです。