2022.2.10
フィギュア・スケート、男子シングル、フリースケーティング(FS)が終わりました。終わってしまいました。
では、気になった選手の感想を、最終順位の低い方から順に書いてみます。
18位 ブラディミル・リトビントセフ(SP18位、FS19位)
"Smile"や"Rock and Roll Part 2"を使うなんて、私と趣味が近い! そして"Smile"はありがちですが、「"Rock and Roll Part 2"をフィギュアで使うなんて嬉しすぎる!!」と思ったら、映画『ジョーカー』で流れるのですね。テーマは『ジョーカー』だったんですね。映画は見てないけれど、言われてみればそんな感じの衣装……。
15位 マルク・コンドラチュク(SP15位、FS14位)
団体戦は素晴らしかったんですが、別人のようになってしまいました。やはり、4日・6日・8日・10日と、短期間で4本も滑るのは負担が大き過ぎると思います。
もう、個人戦先にやって団体戦を後にすればいいのに。コロナ陽性で団体戦にしか出られなかったヴィンセント・ジョウ選手も団体戦が後だったら、良い成績を残せたかもしれないし。
もっとも、鍵山選手は団体戦のフリーで自信を持つ事ができて、勢いに乗ったような気がするので、団体戦が先で良かったのかも。
いずれにせよ、規定やルール、運などによって色々変わってくるなぁ、と思わされます。
14位 アダム・シャオ・イム・ファ(SP14位、FS13位)
ジャンプがすごい! 粗削りな感じで、ミスもありましたが、迫力がありました。四回転トゥループでは会場でどよめきが起こったそうです。あ、バタフライも凄かった。運動神経が良さそう。目を奪われるスケーターでした。
11位 キーガン・メッシング(SP9位、FS10位)
あれ、なんていうの? イーグル? 顔がもう氷の上スレスレで、すごすぎる……と思い、調べてみたら「ハイドロブレーディング」と言うらしいです。羽生選手も似た感じの技をやっていたけど、「ここまで深いのはやってないだろう」と思ったら……ネットにはすっごいスレスレの写真とかあって呆然。羽生選手って、なんでもできますね(今更)。
10位 モリス・クヴィテラシヴィリ(SP5位、FS11位)
ショートでは読めないタイトルだけど素敵な曲を使ったクヴィテラシヴィリ選手、フリーはフランク・シナトラ メドレーで滑りました。
全くタイプが違うけれど、どちらのプログラムも好き。そして手足が長いので、どちらも映えた!
ちょっとニューヨークの嶋佐さんに似てるような……
9位 金博洋(SP11位、FS8位)
復活を印象付ける素晴らしい演技でした。シーズンベスト。
7位 ダニエル・グラスル(SP12位、FS4位)
ちょっと前までは世界ランキング1位は鍵山選手だって聞いてたのに、なぜかいつのまにかこの人が1位になっていました。鍵山選手が1位というのは驚きつつも、「まぁ、今シーズン出たグランプリ・シリーズ2戦2勝だし」と納得しましたが、グラスル選手に関しては「?」の嵐。SPを見ただけでは、正直世界ランキング1位の選手とは思えませんでした。調べてみたら、ジュニアの試合やB級試合でもポイントが加算されるから意外な選手が上位に来るのだそうです。納得しかけたけれど、なんとフリースケーティングだけなら4位で宇野選手よりも上。すごいじゃないですか。
エアロスミス("I Don't Want To Miss A Thing")の曲を使ってくれたのは嬉しかったし、ガッツポーズでも好感度上がりました。パーソナル・ベスト更新。
4位 羽生結弦(SP8位、FS3位)
私はテレビの前で見てるだけなのに緊張しました。すごく観たいのに見たくないような、変な気分でした。
演技が始まる前はもうじっとしていられなくて、ゆらゆら揺れてみたり、顔を触ってみたり、寝転んでは起きてみたり……無意味な行動を色々してました。「平昌五輪の時は現地で客席で見ていたから、じっとしているしかなかったなぁ」とか「隣の外国人女性が何度も"Oh my god, Oh my god."って呟いてたなぁ」などと思い出してました。
羽生選手の顔がアップになりました。なんだか表情があまり良くないような。顔色悪くない?
「いやいや気のせいだ、もう何も考えるのはやめよう、無心だっ!」
と心の中で自分に言い聞かせ……あれ、なんで無心でいようと思ったんだろう? 「四回転アクセル成功しますように」とか祈ってあげれば良かったですね。いや、私が祈ってもどうにもならないかもしれないけれど、私が無心をこころがけるのも、もっと意味ないような。
四回転アクセル……。
練習で成功しないジャンプが本番で成功する筈はないです、普通なら。でも普通じゃない羽生選手なら、ひょっとしたらひょっとするかも……とも思いました。が、奇跡は起きなかったかー。
転倒後は、一瞬だけ「うわっ、もう見たくない」と思ったけれど、その後はそれこそ無心でした(苦笑)。「見届けよう」とだけ思って、ぼーっと眺めていた感じ。
得点は思っていたより出ましたね。全日本の時は回転が足らずに「三回転ジャンプの失敗」という判定をされたアクセルが、ひょっとして今回は「四回転ジャンプの失敗」という風にジャッジしてもらえたんだろうか? でも、アナウンサーも解説者もそういう事は伝えてくれませんでした。
パンダセレモニー(メダルセレモニーは改めて行われるらしく、会場ではパンダのマスコットを授与するだけ)の時に初めて「四回転と認定されました」というアナウンスを聞いたのでした。その瞬間、泣けた。涙がぶわっと出ました。
アクセルといえば、伊藤みどりさんがトリプル・アクセルをオリンピックで決めたのを見た瞬間も泣きました。あれは跳んだ瞬間に泣いたけど、まさか競技が終わって数十分後に聞いた「認定」という情報アナウンスだけで泣くとは、我ながらびっくりです。
「これ以上ないっていう位頑張ったと思います」という言葉にはグッときました。
羽生選手が言うなら本当に頑張ったんだろうし、「これ以上ない」っていう位頑張れる事が羨ましくもあるし、尊敬します。
FSはNHKで放送されたのですが、総合では大雪関連のテロップがずっと出ていました。そこにニュース速報(「○○が△メダル」とか)が重なると、とっても見づらかった……。
Eテレではテロップを出していなかったので、「ずっとEテレでやってくれればいいのに」と思っていたんですが、羽生選手の演技は総合での放送でした。そして、雪の注意点として「転ぶときはお尻から」と表示されたのでした。羽生選手、転んだとき、お尻からだったかな……?
演技の最中に雪関連のテロップは突然消えました。
ひょっとして苦情があったのかな?
3位 宇野昌磨(SP3位、FS5位)
四年前のメダルは「取れちゃった」という感じで、今回のメダルは「もぎ取った」という風に見えました。
一時はコーチを付けずに1人で戦っていた宇野選手。スランプの際に大会に出場して、良い演技が出来なくて、キスクラに1人で座る姿を見るのは切なかった……。が、ランビエール・コーチと一緒にやるようになって、笑顔を見る事が増えたように思います。ランビエールさんが素晴らしい選手だった事は知ってますが、コーチとしての力量はわかりません。でも、あんな風に笑顔にしてくれて、試合前や試合後にほっとさせてくれるだけでも1人でいるよりは良いと思います。
そんな明るい光のようなランビエール・コーチがコロナ陽性というニュースを聞いた時は、「宇野選手、コーチなしで大丈夫だろうか?」と心配しましたが、団体戦では全く問題なさそうでしたね。そして、個人戦のキスクラには無事、ランビエール・コーチも座っていたのでした。
奇しくも今回は羽生選手が1人でキスクラに座る事になってしまいました。羽生選手はコロナ禍でオーサー・コーチのいるカナダに戻れず、仙台で練習をしていたそうです。それを聞くと、なぜ宇野選手はランビエール・コーチのいるスイスに行けたのか、よくわかりませんが……カナダとスイスの状況が違うのか、あるいは羽生選手が喘息である事が関係しているのか……?
オーサー・コーチが近くにいたら、羽生選手の四回転アクセルへの挑戦に賛成したかなぁ?
2位 鍵山優真(SP2位、FS2位)
団体戦やSPほどではありませんでしたが、フリーも良い演技でした。
そして、鍵山正和選手のファンだった私としては、正和コーチがフィーチャーされまくる事が嬉しいようなこそばゆいような(笑)。
正和選手については、別に新たに記事書いちゃおうかな。
宇野選手の所で、
「四年前のメダルは『取れちゃった』という感じで、今回のメダルは『もぎ取った』という風に見えました」
と書きましたが、今回の鍵山優真選手も四年前の宇野選手のような感じかも。
鍵山選手にも今後試練があるかもしれませんが、四年後にメダルをもぎ取ってほしいです。
宇野選手と違うのは、次に金メダルを目指すと公言した所。
宇野選手は大きい事を言わないんですよね、そこが良い所であると同時に、弱点でもあるような気がしています。
「自分は世界一を目指す選手なんだ」という覚悟をランビエール・コーチが植え付けようとしているみたいですが、まだ遠慮がちな気がします。
性格的には有言実行の方がチャンピオンになりやすいと思うので、実力が伴っていて、「次は金」と言えちゃう鍵山選手には期待できそうです。
もっとも、宇野選手も4年で随分大人になったからなぁ。今後もう一皮むけて、さらにスゴイ選手になっちゃうかも!?
1位 ネイサン・チェン(SP1位、FS1位)(SP20位、FS21位)
絶対王者。
羽生選手がショートプログラムで出遅れた事もあって、「もう金メダルは堅い」とは思いましたが、何が起こるかわからないのがオリンピック。4年前のネイサン・チェン選手の惨事を生で見ているので、「ひょっとしたら……」という思いもありました。が、今回は危なげのない演技でした。
他の選手の得点は知ってたのかな、前半は慎重な安全運転というように見えました。ジャンプを全て決めた後のステップはもう勝利のダンスに見えました。歓喜の踊り、みたいな。「ウッホッホー」みたいな(笑)。
音楽が「"Goodbye Yellow Brick Road"だ!」と思ったら、Planned Program Contentは「Music: Rocket Man by Elton John」となってました。「いや、メドレーじゃん」とつっこもうと思ったけど、エルトン・ジョンの映画の『ロケットマン』という意味ですか。
追記:ISUのサイトには更に詳しく書いてありました。
上位選手3人の為の控え室。ネイサン選手が滑る迄は日本人しかいませんでした。
ネイサン選手が滑った後、メダルを決めた2人はガッツポーズ。羽生選手は勝者を称える拍手。
日本人選手の表彰台独占でも良かったけど……勝つべき人が勝って良かったです。ネイサン選手、金メダルおめでとう!!