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東京2020オリンピック SIDE:A・SIDE:B

2022年6月

もっとも古いオリンピックの公式記録映画は1912年のストックホルム大会のものだそうです。
そして、1930年には各大会の記録映画作りが国際オリンピック委員会によって義務づけられました。

1964年東京大会は市川崑さん、1972年札幌冬季大会は篠田正浩さんが監督を務めました。
1998年長野冬季大会はなぜか、アメリカ人のバド・グリーンスパンが監督しているのですが、この方、
夏の大会だと1984年のロサンゼルス、96年のアトランタ、2000年のシドニー、2004年のアテネ、
そして冬の大会では1988年のカルガリー、94年のリレハンメル、2002年のソルトレイクシティ、6年のトリノ、10年のバンクーバーの監督も担当しているようです。
2010年に亡くなっているので、亡くなる直前までオリンピック記録映画に携わっていたという事になりますね。その後は開催国の人が監督しているようです。

2020年東京大会の公式記録映画の監督は河瀨直美さんに決まりました。

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あまりにも色々ありすぎた東京大会、「ようやく無事に終わった」と思ったら、最後の最後でまた一騒動ありました。それは河瀨監督の暴行事件。撮影助手を蹴ったという報道に対して、「防御として、足で抵抗した」「既に当事者および河瀬組内において解決していること」と釈明していたのですが、その後、別の男性職員の顔面を拳で殴りつけたと報じられたのでした。以前「体育会系」と自称されてましたが……スポーツは好きだけど、体育会系気質は苦手な私です。っていうか、昔は許されていた体育会的な暴力的なノリ、今はアウトなんじゃ……?
この騒動が関係しているかはわかりませんが、映画の宣伝は極めて少なかったように感じました。

思いは複雑ですが、東京オリンピックの記録映画、SIDE:AとSIDE:B、両方観に映画館に行きました。

観客少なかった……。

開催前、全く盛り上がっていなかった東京オリンピック、コロナ禍で「オリンピックどころじゃない」という空気で溢れていました。
開催時は盛り上がったように思えたけれど、今はもう関心を持っている人は殆どいないんでしょうか? いや、宣伝が少なかったから、上映されてる事を、皆、知らなかったんじゃないだろうか。興行収入なくても、記録映画だから別にいいのかな。そして、見終えた今、この映画を特に人に薦めたいとも思っていません。

「SIDE:A」は眠くて仕方ありませんでした。私はとにかくオリンピックが大好きなので、オリンピック関連の映像が流れれば退屈しないと思ってました。そんな私が楽しめないとは。我ながらびっくり。
オクサナ・チュソビチナ選手のところで目が冴えましたが、他は「さすがオリンピック選手、すごい!!」的な映像がほとんどありませんでした。
映像について「どこかの市民マラソンに参加しているような錯覚さえ覚えてしまう」と評していた人がいましたが、まさにそんな感じ。
記録映画だし、別に感動させてほしかったわけではないけれど、「『最優先に記録するべき』と考えて膨大なフィルムの中から選び抜いたのがこれらのシーンだったんですか?」と首を捻ってしまいました。

藤井風さんの英語の歌は初めて聴いたのですが、素晴らしいですね。最初外国人アーティストが歌っているのかと思いました。サイモン&ガーファンクルを思い起こさせるような……と思って、今「サイモン&ガーファンクル 藤井風」で検索してみたら、ライブで「明日にかける橋」を歌ってる事が判明。きっと、お好きなのですね。

「SIDE:B」は野村萬斎さんが登場したので、観に行って良かったです(単純)。萬斎さんだけではなく、お馴染みの方が何人も登場して、退屈する間もなく、引き込まれてました。
橋本聖子さんに関しては思う所が色々あるので、過去の諸々を思い起こして泣きそうになってしまいました。「頑張ってくれてありがとうございました!!」と言いたい。もっとも聖子さんの事をよく知らない人があの映像だけを見て何を感じるかは微妙。いや、私もそんなに聖子さんの事、詳しく知ってるいわけではないけれど。

「言論の自由」は尊重しなくてはいけないのかもしれないけれど……
オリンピック反対派のデモの映像は不愉快でした。テレビでリアルタイムのニュース映像を見ていた時も「自分はこんなに怒りやすかったっけ?」と思う程、苛立ってしまったっけ。
バッハ会長が「マイクを置いて、対話しましょう」と語りかけてもマイクを離さず、ヒステリック気味に五輪反対を叫ぶ女性が映画に登場しました。チキンな私だったら、会長にいきなり歩み寄られて「対話しましょう」なんて言われたら戸惑って、どうしていいかわからなくなっちゃいそうだけれど、会長の目の前でマイクを使って声高に反対を叫ぶ度胸のある人なら、もう少し、他の対応ができなかったのでしょうか? 映画を観た頃、たまたま幕末の外交官の小説を読んでいて、開国に反対して過激な攘夷運動(異人斬りとか)に走る人に腹を立ててしまっていたのですが、ちょっと似ていると感じました。開国にも問題はあったと思うけれど、過激な攘夷活動の方が問題だよ……。
国内の意見も聞きながら外国とうまくやっていく事って、昔も今も大変そうですね。