オリンピックが好きだから

羽生結弦

羽生結弦さんがプロ転向を発表しました。
競技会には出場しないということなので、オリンピックにももう出ないのでしょう。

私はノンジャンルのブログをやっているのですが、ブログ内で「羽生」と検索してみたら、42件ヒットしました。42回も話題にしていたようです。
その中から印象的だった部分を取り上げてみたいと思います。

最も古い記事は2010年のNHK杯。「羽生選手は華が出てきたような。素敵でした。」の一行だけでした。

熱く語っていたのは2012年のフランスで行われた世界選手権の日。

今日はなんといっても、羽生選手!!
「素晴らしい!! 今迄見た中で一番いいんじゃない?」なんて興奮して見ていたら、一見何でもないような所でまさかの転倒。
「くぅ~、残念!! でも頑張れ!!」と思ったら、会場からは大きな拍手。会場のお客さんも、私と同じ気持なのね!!
他の選手の転倒ではあそこまでの拍手は起こっていなかったから、羽生選手は転倒前迄に既に観客の心を掴みかけていたと思われます。
そんな応援を力に変えたかのような素晴らしい演技でした。
女子SPではガラガラの客席でしたが、男子はジュベール選手&アモディオ選手とフランス選手が2人いたせいか、満員でしたね♪ そして、羽生選手で盛り上がってくれたのが嬉しかったです。

今迄羽生選手の演技って、人間離れしているというか、妖精のようだと思っていたのですが、今日は人間っぽかった。熱かった!!
「転倒すると疲れが増す」と聞いた事があります。まさにそんな感じで辛そうでしたが、「魂の滑り」という感じでした。感動して泣きそうでした。あまり感じた事のない種類の感動。何かが伝わって来ました。カッコ良かったです。ブラボー!!

羽生選手の気合が他の選手にも伝染したかのように、素晴らしい演技が続きました。
コンテスティ選手とかアモディオ選手とか、あんなに上手かったっけ? 見応えありました。とかいいつつ、羽生選手の演技の余韻にしばらく浸っていた私でした。

それから半年以上も経っているのに、まだ興奮冷めやらないように、2012年のNHK杯ではこんな事を書いていました。

羽生選手といえば、昨年世界選手権のフリー(『ロミオ&ジュリエット』)が「歴史的パフォーマンス」とでも言いたくなっちゃうような特殊な出来でした。
羽生選手の技術が素晴らしかった事はもちろんなのですが、それ以外にも色々な偶然が作用して、彼をより劇的に見せていた気がします。
何かが憑いていたというか、独特の雰囲気があったんです。
それは一定の年齢になったら消えてしまう魔法のような物と想像してました。実際昨年と今年では纏うオーラも変わったような気はするのですが、あれを失ってもまた別の武器をちゃんと備えている事に驚いてます。
って、なんかうまく説明出来なくてすみません。
今後の羽生選手、どう変わって行くのか興味津々です。

ソチ五輪の時は、こんな事を書いてました。

羽生選手、ショート凄かったですね!! 歴史に残る演技だったと思います。ブラボーブラボー!!
フリーは……アレでしたが……結果はSP・FS共に1位の完全優勝だったんですね。
1位の選手も2位の選手もミスしまくりって、オリンピックでは珍しいんじゃないでしょうか。少なくとも私の記憶にはないな~。これは、難しい事をやっているという事なのでしょうね。4年前は4回転やらない人が金メダルでしたし。
「こんなに転倒が多くてはダメだ。4回転を飛ばないようルールを改正しなければ」なんて言い出す人が出ない事を祈ります。

という感じで、羽生選手の金メダルはとてもとても嬉しいのですが、なんかこう「やったー!!」という高揚感があまりない。羽生選手も、「愛しさと切なさと」……じゃなくて、「悔しさと嬉しさが」と複雑な胸の内を話していました。この4回転時代に、しかもオリンピックの大舞台で、ショートとフリーどちらもノーミスというのは難しい事なのでしょうね。
フリーが先でショートが後だったら大興奮で大喜び出来たのかも知れない。

オリンピックという最高の舞台で、最高の演技が見られなかった……という、微妙な複雑な気持はありますが、羽生選手が世界一だった事は間違いありません。
素晴らしい事です。おめでとう、おめでとう!!

あのプルシェンコ選手が、「私は彼のヒーローだったかもしれないが、今は彼が私のヒーローだ」と言ったとか?
プルシェンコ選手、素敵過ぎます 団体戦カッコ良かったよ!!
そして、チャン選手、悔しいだろうし落胆もしているだろうけれど、笑顔で祝福してくれてました。カッコいいよ!!

羽生選手、喘息持ちだったんですね。
日本スケート界初の五輪金メダリストの清水宏保選手も喘息。
日本男子フィギュア・スケート界初の五輪金メダリストも喘息って、金メダリストの喘息率高っ。
私は大人になってからの「にわか喘息」ですが、親近感持っちゃいます。

当時は今よりもずっと4回転ジャンプが難しいとされていた時代でした。

私は野村萬斎さんのファンでもあるので、『陰陽師』のプログラムをやると知った時は、大喜びしました。

2015年9月22日
夕方に野村萬斎さん×羽生選手の対談(news every)を見ました。
銀幕の晴明と氷上の晴明の対談、とても興味深かったです。
羽生選手が萬斎さんの事をとってもリスペクトしてくれてるのが、なんだか嬉しかった。
萬斎さん、羽生選手に「振付変えたい」なんて言わしめてましたが、調べてみたら振付シェイ=リーン・ボーンさん(←超売れっ子振付師。私は選手時代から大好き、振付師としても大好き)じゃないですかーっ!! 彼女の振付にダメ出しって。
でも、晴明を表現する事にかけては萬斎さんの右に出る者はいないか。
ボーンさんが、陰陽師の事、どこまでわかっているか微妙ですしね。
ついでに、氷の上でこそ出来る晴明の人間離れした動きとか入れてくれたら面白いんだけどな~。

羽生選手が『陰陽師』を取り上げてくれるのは嬉しいけれど、「成績が振るわなかったらどうしよう」と余計な心配もしてしまいます。
「萬斎のせいだ」なんて言われたら大変(そんな事言う人いないと思いますけど)。
今シーズンはオリンピック・シーズン並に羽生選手を応援する事にします。

そして、2015年のNHK杯では、世界最高得点を叩き出したのでした。

2015年12月3日
かつてイギリスかぶれだった私は、今でも相変わらずイギリス大好きですが、日本の事はもっと大好きになっています。
そんな私が今日本人で一番好きな芸能人が萬斎さんで、彼の当たり役・安倍晴明が氷上で演じられるなんて感慨あり過ぎです。

なんか客観的に見られませんでした。
万が一いい結果が残せず「『陰陽師』なんかやるからだよ」なんて陰口を叩かれたらどうしようとハラハラしてました。
もう「とにかく滞りなく終わって、優勝出来ますように」と願っているような状態でした。
が、スケートカナダでは、優勝逃しちゃいました。ひ~。

それが、NHK杯では世界最高得点です!! 322.4点とは~。凄すぎ。
なんか感慨が重なり過ぎて、わけわかんない事になってます。でも本当に良かった。
日本人が和プログラムで世界最高得点とは、なんて誇らしい。
「タン!」と足を踏み鳴らすラスト、好きだな~。
晴明も喜んでるんじゃないでしょうか。っていうか、あの人だったら力になってくれそう。応援してくれていたかも?

翌年は別のプログラムに挑戦した羽生選手、平昌五輪では再び『陰陽師』に戻してきました。私は現地で生観戦しました。素晴らしかった!

羽生選手のFSは見ていて緊張しました。なんてったって『陰陽師』ですから!
「SPは1位だったのに、『陰陽師』のせいで優勝出来なかった」なんて事にでもなったら野村萬斎さんの責任問題にまで発展しかねません(ウソ)。
結果は……ちょっとしたミスはありましたが素晴らしかったですね。ラストの「タン!」と足を下ろす瞬間は音楽とピッタリでしびれました。そして優勝が決まった瞬間は本当にほっとした(笑)。

怪我明けの心配をしていたのですが、SP後には忘れてしまいました。
「痛みに耐えて、よく頑張った!」という名言がありました。私もあの時(相撲です)は感動しました。
でも、羽生選手は耐えてる事すら全く感じさせなかった。終わってかなり経ってから「そういえば」と思い出した程。
感動するのは痛みに耐えている姿を見せられた時かもしれないけれど、本当に凄いのはそれを感じさせない事かもしれないなぁ。参りました。

FSの際に私の隣に座っていた外国人女性(肌の色はアフリカ人という程は黒くなく、東南アジアの人という程は白くない)も羽生選手と宇野選手両方応援してました。
チャ・ジュンファン選手と金博洋選手の事も応援していたので東洋人がお好きなのかも?
練習の際には「ガンバ、ユヅ」「ガンバ、ショーマ」と叫び、羽生選手が滑る前は緊張したかのように"Oh my god"を繰り返し、手をクロスして祈り、滑ってる最中には手を合わせ、ジャンプが決まると飛び上がって喜んで手を叩き、ミスをすると一瞬残念そうなんですが、すぐに「大丈夫」と言い聞かせるように"OK"と呟いてました。羽生選手の優勝が決まった時も一人で大騒ぎしていたので、前に座っていた日本の方が振り返って握手を求めてました(笑)。それを見て私も一瞬手を出そうかと思いましたが勇気が出ませんでした。温かい目で見た……つもりなんですが、「騒いでごめんね」みたいな感じで照れ臭そうに"Sorry"と言われてしまいました。そうじゃなくて、「応援してくれてありがとう」と言いたかったのだけど、別に私、羽生選手の関係者でもないしなぁ。
外国の方なのに白いマスクをしていたのは「羽生選手のマネだろうか」と思ってしまいました。「外国人はあまり白いマスクをしない」ってきいたし、実際現地でたまに見かけた韓国の方がしていたマスクは黒かったんです。

SPのチケットは私と友人の分を並びで取れたのですが、FSの分はなかなか取れず並んで見る事は諦めてバラで取りました。チケットが届いたのはなんと出かける前日。
最初はヤフオク市場で高騰していて「とても買えない」と思っていたFSチケットが、最後は投げ売り状態? なんと原価割れでゲット出来ちゃいました。最後まで「入手出来ないかも」とハラハラして「SPだけで我慢しようか」と思いかけてたんですけど、取れて本当にラッキーでした。

最初は韓国行きを反対していた母が、帰国したら掌を返したようになってました。メディアが大騒ぎしていたみたいですね。「あれを見たなんて、でかした」みたいな空気になっていて、褒められた気分です。めでたしめでたし。

羽生選手には、10年以上にもわたって楽しませていただきました。ありがとう!!